高齢ドライバーが高速道路を逆走する事案が跡を絶ちません。報道されるのは大きな事故になったときのみで、じつは逆走は毎日どこかで起きているんです。しかしなぜ逆走は起きてしまうのでしょうか。
まずは高齢ドライバーの特徴を掴んでから、逆走のメカニズムについて見ていきたいと思います。実際に逆走車を見かけた場合の対処や、自衛策についても解説しているので、ぜひ参考にして下さい。
高齢ドライバーの定義とは?

そもそも「高齢ドライバー」とは何歳以上を指すのかご存知ですか。70歳以上でしょうか。それとも還暦を過ぎたら認定される?じつは警察庁がまとめている交通事故統計では、65歳以上を高齢運転者と定義して数字をカウントしています。
高齢者については厚生労働省も65歳としているので一致していますね。ただ、ここでややこしいのは「高齢運転者標識(もみじマーク)」との関係です。もみじマークは70歳以上のドライバーの努力義務となっています。
つまり年齢差が5歳あることになります。この差が混乱させているわけですが、65歳を高齢者としているのなら、もみじマークもそれに合わせた方が合理的かも知れません。

高齢ドライバーは増えているの?
日本は高齢化がすすんでいます。ということは高齢ドライバーも必然的に増えていくことになります。それでは実際にどれだけ増えているのかご存知でしょうか。2017年のデータによると運転免許保有者は8200万人です。
このうち75歳以上の高齢ドライバーの数は、全体の6.6%の540万人となっています。そしてその割合はこの10年で1.9倍にもなっているんです。若者が運転免許を取らないので、運転免許保有者があまり増えない一方で、高齢ドライバーの数だけ増えていくという構図になっています。
高齢ドライバーの特徴は?
高齢ドライバーには共通した特徴があると言われています。1つ目は経験にしがみついた運転です。高齢ドライバーは長い運転経験があるわけですが、経験に基づいた運転だけでは時に危険です。運転中には臨機応変に対処しなければならない事態も起きうるからです。
2つ目は危ないという認識に欠けていることです。高齢者が教習所で免許を取ったのは何十年も前の話です。その間に道路交通法は何度も改定されています。改定された中身を知らない、あるいは細かいルールを忘れてしまったというケースが多々あります。そうなると知らないわけですから、危ないという認識に至らないわけです。
3つ目は体力の衰えです。高齢者は視力が衰え筋肉が減少し体は硬くなります。反射神経も低下していますが、本人は昔のつもりで車を運転しているものです。これも高齢ドライバーに共通した特徴なんです。
高齢ドライバーはなぜ逆走するのか

高齢ドライバーの増加とその特徴についてはわかりました。それでは高齢ドライバーはなぜ高速道路を逆走してしまうのでしょうか。じつは逆走にはメカニズムがあると言われています。また逆走車にはある一定の傾向があることもわかっています。それぞれ詳しく解説しましょう。
逆走のメカニズムとは?
逆走が発生する場所はインターチェンジ(IC)とジャンクション(JCT)です。国土交通省の2016年の統計によると、この2箇所で逆走の60%が発生しています。ついで本線での発生が16%で、サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)での発生が5%となっています。
高速道路各社では逆走が起きやすい場所には、標識やラバーポールなどを設置して注意を喚起していますが、なかなか撲滅には至っていないというのが現状です。
では逆走はなぜ起きるのでしょうか。1つ目はパニックによる逆走です。例えば流出路や出口を間違えてしまい、パニックとなって回復させようと逆走を始めるというもの。
国土交通省のデータによると逆走を始めた時、逆走していると認識していた割合は5割だそうです。つまりわかっているのに逆走して戻ろうとしているわけです。
2つ目は標識の見落としによるものです。何か物理的に侵入できない方法があればいいのですが、なかなかそうも行かないようです。
逆走車の傾向とは?
高速道路各社では逆走が起きた場合の対応についてアナウンスしています。それによると「逆走車は追い越し車線を走行してくる」というもの。つまり自分が逆走しているという自覚がない場合、左車線を走っていると思いこんでいるわけです。
そのため事故が起きるとその結果は重大なものになります。追い越し車線では100キロ以上出している場合もあるからです。自衛策としては追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻ることしかありません。そしてこれは高速道路のルールであることもお忘れなく。
逆走車を見かけたら?

高速道路を走行中に逆走車を見かけた場合はどうすればいいのでしょう。もしスマホが車にセットされていて、ハンズフリーで電話をかけられるなら直ちに110番通報をして下さい。
スマホはあっても手で操作しなければならない時は、危険なので高速バスのバス停などに設置されている、非常電話から通報するようにしましょう。何れにせよ注意を払って通報するようにして下さい。
まとめ
以上、高齢ドライバーの特徴と現状、そして高速道路の逆走について見てきました。逆走車が100キロで走行していて、追い越し車線の車も100キロ出していた場合は、200キロで壁にぶつかるのと同じことになります。
車の安全性は年々向上していますが、それだけのエネルギーを吸収できる車はありません。もっとも自衛策が追い越しが済んだら、速やかに走行車線に戻ることしかないのも厳しいですね。
そして、ついうっかりは高齢ドライバーに限りません。あなたも逆走するかも知れません。そんな時は路肩に移動してハザードランプを付け110番通報してください。車から降りてガードレールの外に出るのがベストです。
