いま都心部ではコインパーキングが増えています。国土交通省のデータでは、コインパーキングの車室数は2007年で約69万室だったのが、2015年には約118万台と顕著に増加しています。コインパーキングを中心に、駐車場の経営についてまとめましたのでご参照ください。
コインパーキングの需要動向

人口減少、少子高齢化、高齢者の免許返納、若者の車離れといわれている昨今、なぜコインパーキングが増え続けているのでしょうか。今後の需要動向についてもまとめました。

実は運転免許、自動車の保有数は増加している
警視庁の運転免許統計によると、運転免許証の保有者数は1968年約22.9万人だったのが、年々増加して2000年には約74.7万人、2019年には約82.2万人と1968年と比較すると約3.6倍に増加しています。女性の保有率が1968年で約17.0%だったのが2019年で45.5%まで増加しているので、女性の社会進出により運転機会が増えたことも大きな要因と推測できます。
また、自動車の保有台数(軽自動車を含む乗用車)は1968年で約4百万台だったのが、2000年で約51百万台、2019年で約62百万台まで増加しています。以上のことより、駐車場の需要は今も増えていると考えてもよいでしょう。
コインパーキング料金の値上げ
2019年10月消費税率改定と同じタイミングで、駐車場事業大手のパーク24が運営している「タイムズパーキング」が10%の値上げをはじめとし、一部の地域でコインパーキングの料金値上げの報告が散見されます。
また地域のショッピングセンターが以前は自社で駐車場を管理していたのですが、大手事業者へ運営委託するケースが増えて、実質値上げしているケースも見受けられます。このような値上げをしているコインパーキングの付近の別のパーキングも便乗して値上げしやすい状況を作り出しています。
今後の需要予測
国土交通省のデータによると、全国の駐車場数と同様に東京23区でも過去10年間で約1.25倍増加している一方で、自動車保有台数は平成28年度では約0.89倍に減少しています。国土交通省としても、都市部での小規模な駐車場が乱立している箇所については問題視していて、歩行環境の悪化やまちなみの分断などを課題として取り上げています。
今後は、駐車場についても電気自動車用充電器の拡充、災害時の支援物資倉庫などを可能とした、質を高めるため対策を実施していく動きがあります。現在は駐車場数について法的制限はないものの、今後は街づくりの一環としての駐車場づくりが進められていくと予測できます。
また新型コロナウイルス渦において、公共交通機関を避けるケースが増えるので、電車やバスなどで行き来していた施設周辺では需要が増える可能性があります。
コインパーキングの経営方法

空いた土地でコインパーキングの経営をはじめるメリットとして、アパートなどの集合住宅を経営するより初期投資を抑えることができます。また、施工期間が短いのですぐに収益化できたり、小規模な土地でも駐車場にできるのも大きなメリットです。集合住宅の経営と比べた場合のデメリットは、平米あたりの収益は低くなること、売り上げに対する税率が高いことです。以上の特徴から土地運用としての駐車場経営は手堅いローリスク、ローリターンといえるでしょう。
利回りの計算
実際にコインパーキングを経営するうえで、年間の収益をあげていくためには事前に利回りを試算することが必要です。利回りを簡単に試算する方法は以下の通りです。
利回り(%)=(収入ーランニングコスト)÷初期費用×100
=(駐車台数(台)×賃料(円/時間)×稼働率(%)-固定資産税などの税金(円))÷(土地価格+初期費用)×100
になります。上記の試算には駐車場運営会社に委託していない個人経営を前提としているので、委託経営する場合はランニングコストに年間の委託費用を入れないといけません。また、土地価格については既に所有している土地であれば試算条件に入れる必要はありません。
駐車場経営を失敗しないために

数々の不動産経営会社のホームページをみると、利回りが10%を超えていれば優秀で、実際は4~5%程度であると感じます。駐車場経営を失敗しないためには、駐車場運営会社から提示される利回り計算について、その稼働率が正しいものであるか、その土地の需要が初期投資を回収するまで継続するのか、自らリサーチする必要ではないでしょうか。
