愛車に乗り続けていれば、バッテリーの交換は必要になります。しかし、バッテリーのことなどよく分かっていないという人も多いかもしれません。
例えば、電気を使用する際の単位として、Ah、Whなどがあるのですが、その違いなど全く分からない、初めて聞いたという人もいるかもしれません。
そこでこの記事では、そんな電気やバッテリーについて解説していきます。なかでも、電力について表すAhとWhの意味や違いについて詳しく見ていきます。
バッテリー交換の際などに必要となる、車のバッテリーのアンペアなどの知識を得たい、アンペアについて知りたいという男女の方は、是非参考にしてください。
バッテリーがないと車は始動できない

車が走りだすには、電力が必要です。そこで、バッテリーが、蓄えてある電力をエンジン始動時にスターターに供給して車を動かす働きをします。そのため、バッテリーの性能が落ちると、エンジンの始動ができなくなったりもします。
また、様々な電装品を使用するためには電力が必要となってくるため、車にとって電力はとても重要です。
エンジン始動後は、基本的にはオルタネーターと呼ばれる部分で電力を生み出すことができますが、オルタネーターからの電力が足りないときはバッテリーの電力を使用することもあります。

電気の基本はアンペア、ボルト、ワット

車に必要不可欠な電力ですが、電力を表す単位を理解しておくと、バッテリーの性能についても理解が深まります。
電気の基本と言えるのは、電流を表すアンペア(A)、電圧を表すボルト(V)、電力を表すワット(W)です。そして、電力は、電流と電圧の積(W=A×V)で求めることができます。
また、Ah、Whで使われている「h」は、アワー(hour)の事で時間を表しています。
ちなみに普通車の場合、基本的には12Vのバッテリーを使用するので電圧の値は12です。そして、バスなどの場合は12Vのバッテリーを2つ繋げた24Vのバッテリーを使用しています。
AhとWhの違い

バッテリーの性能を表す説明などの時にはAhがでてくることがありますが、家庭で使う電気の電気料金などの明細を見ると、Whの記載があったりします。
どちらも電気のことを表していますが、わざわざ単位が異なっていることからも分かるように、2つが表しているものには違いがあります。
Ahは電流×時間
Ahは、アンペアアワーの事で電流と時間をかけた数値です。Ahと取り出したい電流の大きさがわかれば、使用できる時間が算出できます。
電流(A)×時間(h)=アンペアアワー(Ah)
例えば、12V30Ahのバッテリーの場合、1Aの電流なら30時間、10Aの電流なら3時間、30Aの電流ならば1時間使える容量があるという事がわかります。
Whは電力×時間
Whは、ワットアワーの事で、消費電力と時間をかけた値です。Whと消費電力がわかれば、使用できる時間が算出できます。
電力(W)×時間(h)=ワットアワー(Wh)
電力(W)は、電流(A)×電圧(V)であらわされるので、例えば12V30Ahのバッテリーの場合は、360whの仕事量ができるバッテリーという事になります。
電圧(V)×電流(A)×時間(h)=ワットアワー(Wh)
(例)12V×30Ah=360wh
そのため、60Wの電力ならば6時間、120Wの電力ならば3時間、360Wの電力ならば1時間使うことのできるバッテリーという事がわかります。
表記されている容量は目安でしかない
表記されている容量が12V30Ahのバッテリーを使う場合、実際は1Aの電流を30時間使い続けることはできません。
これは、実際はフル充電しても8割程度までの蓄電しかできないことや、一定量の電力を使い切るとバッテリー上がりを起こしてしまうといった現実があるからです。
時間率を表すHR
バッテリーの説明の際にHRという単位が表記されているものがあります。このHRは、時間率(hour rate)の事です。
例えば、12V30Ah(5HR)というバッテリーがあった場合、5Hの部分が時間率に当たります。
これは、6Aの電流を5時間使い続けると、バッテリーが上がるレベルまでバッテリー性能が落ちますという事を表しています。6Aは30Ahを5時間で割って得られた、一時間当たりの電流の値です。
一般的な車に使われるバッテリーの場合は5時間率、欧州車などに使われるバッテリーの場合は20時間率が使われることが多いです。
ちなみに、12V30Ah(5HR)の表記がされているバッテリーと12V30Ah(20HR)の表記がされているバッテリーがあった場合、6Aの電流を5時間使い続けられるバッテリーと、1.5Aの電流を20時間使い続けられるバッテリーという事になります。
この2つのバッテリーの容量は同じですが、同じ負荷を両方のバッテリーにかけた場合は、実際は5時間率のバッテリーの方が長持ちをします。
これは、バッテリーが短時間に大容量の電気を消費するのが苦手なためであり、5時間率でテストされたバッテリーの方が、厳しい状況をクリアしたことになるからです。
今回は、Ah、Whなどについて解説をしてきましたが、いかがだったでしょうか。アンペアやワットなどの理解が深まっていると、バッテリーの性能への理解も深まり、バッテリーを買う際などにとても役立ちます。
また、車に限らず、暮らしの様々な場面で電力は関わっているので、これを機会に色々なところで電力をチェックしてみるのも面白いかもしれません。
