近年では環境への配慮から、排気ガスの発生を抑えたいわゆる「エコカー」が人気を集めています。ですが一口にエコカーと言っても、「アイドリングストップ車」や「充電制御車」、「ハイブリッド車」などその種類は様々。
中でも特に注意が必要なポイントとして、搭載されているバッテリーの違いがあります。この記事ではエコカーのバッテリーについて、種類ごとに解説いたします。
アイドリングストップ車について

車の排気ガスを削減するための手軽な取り組みとして、現在では「アイドリングストップ」が推奨されています。信号待ちなどの停車中、エンジンを切っておくことで、排気ガスの削減を目指すというものです。近年ではアイドリングストップの普及に伴い、アイドリングストップを前提とした車、「アイドリングストップ車」が広く販売されています。
そんな環境に優しいアイドリングストップ車ですが、エンジンには非常に大きな負荷を強いています。バッテリーはエンジンを始動させる際に最も負荷がかかると言われていますが、アイドリングストップ車はただでさえ負荷の大きいエンジンの始動を、信号などで車が停止するたびに繰り返し行う必要があるのです。
バッテリーの性能の進歩は目覚ましく、一時期は保証期間が5年を超えるバッテリーも少なくありませんでしたが、アイドリングストップが普及した現在では2年あるいは3年ほどにまで短くなっています。
アイドリングストップ車には専用のバッテリーを!
それほどまでにバッテリーへの負荷が大きいアイドリングストップ車ですから、搭載するバッテリーもより大容量で高性能、耐久性に優れたものが必要となります。そのため、アイドリングストップ車用のバッテリーは一般車用のものと区別されます。それを判別するには、バッテリーに貼られたラベルの表記を確認すると良いでしょう。
バッテリーのラベル表記には大きく分けて2種類があり、まず1つめは「数字・アルファベット・数字+LorR」という表記。そしてもう1つが「アルファベットー数字(R)」という表記です。
1つめの表記は一般車用バッテリーの表記で、最初の数字が性能ランク、そして次のアルファベットと数字がサイズ、最後のLもしくはRが、端子が左右どちらに位置しているかを示しています。そして2つめは「アイドリングストップ車用バッテリー」の表記です。最初のアルファベットがサイズ、その後の数字が性能ランクを示しています。端子の位置はR(右側)の場合は表記がありますが、L(左側)の場合には表記がありません。
バッテリー交換の際にはこうしたラベル表記をもとにバッテリーを選ぶことになりますので、表記の見方を覚えておくと良いでしょう。

充電制御車について

いわゆる「エコカー」と呼ばれる車のうち、アイドリングストップ車やハイブリッド車を除くと、ほぼ全てがこの「充電制御車」になります。そのため、この充電制御車を指して「エコカー」と呼ぶ人も多くなっています。
充電制御車とはその名の通り「充電制御システム」を搭載した車のことです。これまで、バッテリーはエンジンの動力によって発電を行う発電機(オルタネーター)によって、常に充電が行われていました。充電はたとえバッテリーが完全に充電されている時にも行われており、それによってエンジンは無駄に消耗していたのです。
そこで現在では充電制御システムにより、エンジンの力が必要な加速時にはオルタネーターを休ませることで充電を行わず、減速時の余ったパワーで充電を行うようなりました。これによりエンジンの負担が抑えられ燃費は格段に向上しましたが、その分バッテリーの負荷は増大しています。そのためアイドリングストップ車ほどではないにせよ、充電制御車にも高性能のバッテリーが必要になっています。
ハイブリッド車について

上述したアイドリングストップ車と充電制御車についての話をご覧いただきますと、停止・始動時の負担が車の燃費にとって大きな問題だったことが分かるかと思います。そこで最も負担の大きい停止・始動時を、エンジン以外の動力に任せてしまおうという発想が生まれました。
それがハイブリッド車であり、燃費の悪い低速度の状態では電動のモーターによって駆動し、エンジンの得意分野である高速の状態ではガソリンを使用するエンジンによって走行します。
走行にも使用するハイブリッド車のバッテリーはさぞ負担が大きく、寿命も短いだろうと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。なぜならハイブリッド車のバッテリーは2種類、「駆動用バッテリー」と「補機用バッテリー」に分かれているのです。
そして交換が必要なのはハイブリッドシステムを司る補機用バッテリーのみで、モーターやエンジンを駆動させるメインバッテリーは交換の必要はありません。交換の目安も5年ほどと、従来のエコカーと比べて格段に長持ちすることが分かります。
