マイカーを持っている人は、毎年自動車税を支払わなければなりません。しかし、国が新しい課税方式の「走行距離課税(走行税)」の導入を検討しています。そこで、ここでこの走行税がどんな制度なのかを見ていくことにします。
走行税とは
マイカーを所有者の人達は、毎年4月に自動車税を必ず支払うように義務付けられていますが、この制度は、自動車重量税と合わせて自動車に関係する税収の大きな柱となっています。
この自動車税に置き換わる制度として、国会で審議されているのが「走行税」即ち「走行距離課税」なのです。この走行税は、自動車の走る距離によって、課税の負担度合いが変わってくる性格を帯びている制度と言えるでしょう。

走行税がどうして議論されるようになったのか?
では、どうしてこの時点で、この走行税の案が国会で浮上して議論されるようになってきたのでしょうか?それは、若年層の人達の自動車離れが進んでいることが挙げられます。
昔は若い人達が車を所有することがある種のステータスだったのですが、今では価値観の多様化によってその傾向が希薄になってきています。また、車の多様性も起因しています。
低燃費性能が特徴のハイブリット車が普及・拡大によってガソリン税の税収に減少してくることか懸念されています。しかも、電気自動車まで普及してくると、その懸念がさらに加速していきます。
これらの動きを背景にして、将来的には自動車関係の税収が大幅に減っていくことことが予想されるのです。そのために、これらの税収不足を補う新たな制度して走行税の案が浮上してきたわけです。この課税方法は、将来的な税収不足を根本的から見直すことになります。
走行税が国会で可決して施行されることで、今まで利用者のメリットであったエコカー減税や免税対象のハイブリッド車・電気自動車等もガソリン車と同じ税率となっていくので、国や自治体からすると、大きな税収アップが期待できることになるのです。
個人にも走行税のメリットがある?
走行税は、ハイブリット車や電気自動車等の普及拡大で減少していく税収を増やすことを目的とした税制ですが、実際にこの税制度が施行されると、国や自治体の税収アップだけでなく、個人レベルでも次のようなメリットが出てくる可能性があります。
走行距離が短いドライバーにとっては、税金負担が軽くなる
走行税は、車の走る距離に合わせて税額が決まってくる課税方式として検討されています。したがって、日頃、車をあまり使わない人で走行距離が短かければ、それだけ税金が安くなるわけです。
マイカーを所有していても、実際にサンデードライバーのように週末にしか乗らない人達にとっては、利用する頻度が少ないので、新しい走行税が大きなメリットに感じることでしょう。
そのために普段の生活や車を使わない人や、車通勤をしていない大都市圏に住んでいる人は、これまでの従来の自動車税よりもかなり減税となる可能性があるのです。
排気量が大きい車も減税に繋がる可能性あり?
また、排気量が大きい車を持つ人も税金が減る可能性があります。
今の自動車税では、排気量が大きい車は税金が高くなっていますが、走行税が施行されることによって排気量別の課税は無くなってきます。その結果、大排気量の車でも、走行距離が伸びないのであれば、減税に繋がる可能性が出てきます。
走行税のデメリット
前述のように都市部に住んでいる人は、車を利用する機会が少ないので、走行税の恩恵を受けやすくなってきます。
その一方で、次のようなデメリットも考えられます。
地方に住んでいるドライバーに重い負担がのしかかる
それは、地方にいるドライバーに税負担が増えてしまうということです。
地方では、都会と比べて車の依存度が高い傾向にあります。都市部のように公共交通網が発達していない地域では、通勤や買い物等の日常の生活で車を利用することが当り前になっています。
そのために走行距離も当然長くなってくるので、走行距離課税が導入されることでさらに高い税金を負担しなくてはならないのです。
走行税は、自動車を利用する機会によって課税額を大きく変えていきます。
そのため、生活の足として日頃から車を使っている地方に住んでいる人にとっては、税負担が重たくなってきます。
個人だけでなくビジネス業界でも打撃がある?
走行税のデメリットが個人だけでなく、ビジネス業界にも大きな影響を及ぼしてくるでしょう。特に運送業界や交通業界になると、保有する車両の走行距離が長くなるので、大きな税負担増となってしまいます。
車を数十台と保有する企業にとっては、経営を圧迫するくらいに負担が重たくなる可能性があります。そのために走行税に伴い、増えた税負担分をやバスのタクシーの運賃値上げや輸送代に転嫁される可能性も出てきます。
まだ決まったわけではないが
この走行距離課税の導入が正式に決まったわけではありませんが、国会で法案が可決されて施行されるとなると、恩恵を被る人とそうではない人が出てきます。そのようなことを考えると、普段、当り前に利用しているマイカーのあり方を見つめ直す必要が出てくるかもしれません。
