暗くなればヘッドライトを点けますね。無灯火では危険で運転にも支障があります。ですから真っ暗になれば、みんなヘッドライトを点灯させるわけですが、問題は薄暮時間帯と呼ばれる夕暮れ時です。
この時間帯はヘッドライトを点灯させている車とそうでない車が見受けられます。ヘッドライトを点灯させる正しいタイミングはあるのでしょうか。また道路交通法ではどのように規定されているかも気になるところです。
そこでこの記事ではヘッドライト点灯の正しいタイミングについて解説しています。
夕暮れ時は事故が多いって本当?

このグラフは警察庁が作成した「薄暮時間帯における交通事故防止」というタイトルの中で使用されているものです。このグラフについての詳細は次項で解説しますが、夕暮れ時には事故が多いというのは、本当だということがわかります。
夕暮れ時は歩行者もドライバーも視力が低下します。その結果、双方が気づくのが遅れて、不幸な事故につながることになります。

時間帯別の死亡事故件数
まずは左のグラフに注目しましょう。2013年から2017年までの、5年間の死亡事故の発生件数を、時間帯別にグラフにしたものです。17時から19時までの発生件数が突出していることがわかります。
季節や地域によって差はあるものの、この時間帯は日没前後の薄暮時間帯に当たります。また帰宅時間帯とも重なるため、人出や交通量が増えることも関係しているかもしれません。
薄暮時間帯における月別の死亡事故件数
次に右のグラフに注目して下さい。薄暮時間帯における月別の死亡事故件数をグラフにしたものです。10月から12月にかけて事故件数が多いことがわかります。秋の日はつるべ落としといいますが、日没が早まる時期に事故が多く発生すると言えそうです。
つまり、もっとも交通事故に注意しなければならないのは、10月から12月にかけての17時から19時ということになります。この期間は特に慎重な運転が求められますね。
道路交通法の規定はどうなっている?

交通事故が晩秋の薄暮時間帯に多いことはわかりました。対策を取るとしたらヘッドライトの早期点灯しかないでしょう。しかし人によって明るさ暗さの感覚には差があります。道路交通法ではどのように規定されているのでしょうか。
季節ごとに何時から点灯などという細かい規定があるのでしょうか。地域差もあるので気になるところです。そこで道路交通法を紐解いてみることにしました。すると意外なことがわかったのです。
道路交通法の規定
ヘッドライトの点灯については道路交通法第三章第十節第五十二条で次のように規定されています。
・第五十二条
車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
つまり日没時には点灯しろということで、細かい規定はないということになります。もっとも法律に書くのは困難かもしれません。これまで述べてきたように、薄暮時間帯は季節や地域によって左右されます。
そのうえ天候によっても変わるわけですから、明文化することは不可能でしょう。ドライバーの判断に任されていることになるので、早めの点灯を心がけたいものです。
オートライトが義務化される?

新型乗用車は2020年4月から継続生産車は2021年10月から、ロービームの自動点灯、つまりオートライト機能が義務化されました。オートライトは既に欧州車には多く装備されていましたが、基準がなかったためメーカーにより点灯のタイミングに差がありました。
しかし義務化されたことにより新たに基準が設けられたことになります。そしてその基準とは周囲が1,000ルクスの明るさになったら2秒以内に点灯するというもの。これによりヘッドライトの点け忘れがなくなることになります。
1,000ルクスの明るさとは?
しかし数字で1,000ルクスと言われてもなんだかピンときませんね。どれくらいの明るさなんでしょうか。1,000ルクスの目安は晴天の日の入り1時間前の明るさです。参考までにオフィスの平均的な明るさは500ルクス程度で、デパートでは500~700ルクス程度です。
そうなると1,000ルクスでは、まだ明るいと思うかもしれません。しかし歩行者や他の車から見た場合、ヘッドライトを点灯していない車は、周囲に溶け込んでしまい認識しづらい明るさでもあるんです。
ヘッドライトを早めに点灯させて認識を容易にさせることが国土交通省の狙いです。
まとめ
以上、ヘッドライト点灯のタイミングについて見てきました。オートライトは新型車には義務化されましたが、装備していない車も数多く走っています。薄暗くなってきたら早めに点灯する癖を付けましょう。
それが歩行者のためでも自分のためでもあるんです。交通事故は被害者も大変ですが、加害者も大変なことになりますから。今のバッテリーは適切に管理していれば上がることは少なくなっています。
バッテリー容量が小さなスクーターやバイクが、昼間点灯しているわけですから、乗用車も早めに点灯しましょう。
