いすずのトラックというキャッチフレーズで有名ないすず自動車。実は国内の現存する自動車メーカーの中ではもっとも古い歴史を誇ります。今回はそんないすず自動車の歴史をご紹介していきます。
日本の自動車メーカーの老舗「いすず自動車」について

いすず自動車が創業された1916年は第一次世界大戦の真っ最中。株式会社東京石川島造船所と東京瓦期電気工業株式会社がタッグを組み、自動車製造を企画したところから始まりました。
1922年、記念すべき国産第1号の乗用車である「ウーズレーA9型」を完成させました。1949年、商号を「いすゞ自動車株式会社」に変更。いすず自動車の名前の由来は伊勢神宮の五十鈴川からきています。
現在、いすず自動車は日本国内の乗用車の製造からは撤退しています。太平洋戦争後のいすず自動車は魅力的な乗用車を開発し売上を伸ばしていました。1961年には自社開発の「ベレル」を発表。足取りは好調かと思われていました。
しかし、基本設計を変えないという会社の方針から徐々に売上は停滞。不況の勢いもあり1993年にはSUVを除いた乗用車の自社開発から手を引く結果になります。そして2002年には国内での乗用車の製造を完全に撤廃することとなります。
現在、いすず自動車ではディーゼルエンジンと商用車の製造に力を入れています。そして、国内大手のトヨタやロシア、インドなどの海外企業と資本提携を行い、活動の幅を広げています。

いすず自動車の代表車「117クーペ」
今でこそディーゼルエンジンや商用車に特化したイメージを持たれているいすず自動車もこれまでに乗用車で魅力的なモデルを販売してきています。
特に「117クーペ」というモデルは日本の自動車市場でもっとも美しい車として敬愛されています。それもそのはず、このモデルのデザインを担当したのは世界トップクラスの自動車デザイナーであるジェルジェット・ジウジアーロ氏。
彼が手がけたデザインでプロトタイプがジューネーブ・モーターショーでコンクール・デレガンスを獲得するなど世界にも注目されるモデルとなりました。販売終了した今でも「117クーペ」は旧車マニアの間で高い人気を誇ります。
商用車では国内シェア率No.1を誇るいすず自動車

乗用車の製造を完全撤廃させ自社の強みを生かしたディーゼルエンジンと商用車に絞ったいすず自動車の判断は正しかったと言えるでしょう。現在では商用車の国内シェアNo.1を誇る大手メーカーとして知られています。
いすず自動車のトラックの特徴は良質なディーゼルエンジンを使っていることにあります。もともと船舶や産業用のエンジンの開発を行っていることから大型エンジンの開発には長けていました。
さらに近年では馬力のあるディーゼルエンジンでありつつも環境に配慮したものとなっています。エンジン音が静かと言うことも特徴です。国内のメーカーと比較した時に販売価格が抑えめというところも人気の理由の一つとして挙げられるでしょう。
ラインナップもエルフ(小型)、フォワード(中型)、ギガ(大型)と豊富に用意されていて目的に応じて選ぶことが可能になっています。それぞれの特徴を紹介していきます。
- エルフ(小型)
車両前面にカメラを搭載し、歩行者や自転車を検知してくれます。対象物との距離を警告音で知らせてくれ流ため事故を最小限に抑えることができます。また、車間距離が詰まった時には通知してくれるなど事故を未然に防ぐ工夫がなされています。
- フォワード(中型)
中型トラックの中でも抜群の低燃費を誇りドライバーの財布にも優しい一台です。ボディタイプも豊富にあるのがポイントです。
- ギガ(大型)
いすず自動車お得意のディーゼルエンジンの能力が最大限に発揮されるモデルです。走り出しの加速はもちろんのこと、安定した走行感も特徴の一つです。長距離ドライバーに重宝されるモデルとなっています。
もっとも古い歴史を持ち、現在では自社の実力を存分に発揮して活躍の場を拡げているいすず自動車。今後もどのような事業を展開していくのか目が離せません。
