運転操作の誤りで起きた死亡事故のうち、一番多い要因はなんだと思いますか?
正解はハンドル操作の誤りで、全体の7割を占めています。
(公益財団法人交通事故総合分析センターの調査より)
こういったハンドル操作の事故を防ぐため、デンソーが新製品を開発しました!
その名も「電動パワーステアリングモーター・コントロール・ユニット」(以下「EPS-MCU」)です!
この記事では、そんなデンソーのEPS-MCUについて紹介します!
そもそもパワーステアリングって?

ハンドル操作をアシストしてくれる機構のことで、乗用車のほぼすべてに標準装備されています。
1~2トンもある自動車を軽い力でハンドルを回せるのは、このパワーステアリングがあるからです。
また、でこぼこした路面を走っているときに、ハンドルに受ける衝撃(キックバック現象)を軽減してくれる効果もあります。
パワーステアリングは、大きく分けて油圧式と電動式の2つに分けられます。
油圧式と電動式の仕組みや、メリット・デメリットについて軽く説明します。

油圧式
油圧式パワーステアリングは、ハンドルを回した量に応じて油圧が調整されアシストしてくれます。
油圧式のメリットは、なめらかなハンドル操作ができる・安価に作れる事があげられます。
デメリットとしては、定期的なオイル交換が必要なことや燃費が悪いといった事があります。
油圧式の中には、油圧式と電動式を組み合わせた「電動油圧式」というものもあります。
電動式(EPS)
電動パワーステアリング(Electric Power Steering)は、車の速度や操舵力などをセンサーが感知し、最適な電流量を流してアシストしてくれます。
油圧式が30年以上前から採用されているのに対し、電動式は2000年代に入ってから普及し始めた技術です。
油圧式のパワーステアリングに比べて、二酸化炭素排出量が少ない・燃費が良いといったメリットがあります。
デメリットは、油圧式よりコストがかかってしまう事です。
20年前は油圧式が主流でしたが、現在は電動式に移り変わってきています。
パワーステアリングが故障してしまうとどうなる?

アシスト機能が使えなくなり、ハンドル操作が一気に重くなります。
その重さは、成人男性が両手で回してやっと動く程度と言われています。
もし走行中に故障したら・・・考えるだけでも恐ろしいです。
ハンドルを切るときに重く感じたり、違和感を感じたらできるだけ早く業者に相談しましょう。
また、油圧式の場合は定期的にメンテンナンスをするようにしましょう。
従来のEPS-MCUを小型化・低コスト化

デンソーが今回開発したEPS-MCUは、2015年に開発したDDA1(デンソー・デュアル・アシスト第1世代)の次期型であるDDA2(デンソー・デュアル・アシスト第2世代)です。
DDA1は世界初の駆動回路とモーター巻線を2系統で持つEPSで、片側が故障してもアシストを継続することができるという画期的な製品でした。
このDDA1を約1割小型化し、高い性能と安全性を保ちながら低コスト化したのがDDA2です。
実際にESP-MCUは、2020年6月に発売したTOYOTAのハリアーに搭載されています。
現時点ではハリアーのみですが、これから様々なメーカーで搭載される予定です。
安心・安全な車社会を目指して

デンソーのEPS-MCUについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
このEPS-MCUが普及していけば、より安心・安全な車社会になると思います。
デンソーはパワーステアリングだけでなく、自動運転技術や人工知能の開発にも力を入れています。
今後もデンソーから目が離せませんね!
