進む高齢化社会。若年層の働き手が少なくなる中、「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ローソン」のコンビニ大手3社が、ある実証実験を始めました。その実験とは、共同配送です。
高齢化などで運転手不足が深刻化する中でのこの実証実験の目的は、供給網(サプライチェーン)の維持です。サプライチェーンとは「仕入れ」から「出荷」までの流れを言います。
今回の記事では実証実験の内容と結果、そして、これからの日本の将来をわかりやすく解説させていただきます。
現在の状況と実験

今回の実験は東京都内限定の実験となっております。将来的には過疎地での配送も視野に入れているそうです。
流通経済研究所の試算にでは
- トラックの積載量は20%削減
- 台数は全体で3割減
- 二酸化炭素の排出量の削減
上記の3点が見込めると言います。

現状の配送状況

国内のコンビは約5万6千店あり、そのうちの9割を大手3社が占めています。都内には約7千店舗あると言われており、現状では各社がそれそれの配送業者に依頼し1日2~3回商品を運んでいます。
今回の実験では競合の垣根を超え、同一エリア内のコンビニ全体として効率の良い配送を実現するものです。
実施方法
実施機期間は2020年8月1日~8月7日の1週間で実施されました。
今回対象となったのは
- セブンイレブン:13店舗
- ファミリーマート:13店舗
- ローソン:14店舗
合計40店舗です。
まず千葉県市川市にある3社のセンターから東京都江東区にある大型物流施設「Xフロンティア」に商品を運び入れます。そこから近接した3社の店舗に配送するといった流れになります。
Xフロンティア公式ホームページ↓↓↓
http://www.sg-hldgs.co.jp/x-frontier/
今回の実験では常温配送商品(飲料・菓子・日用雑貨など)が対象となっております。今後は共同在庫の可能性も考えて共同の物流センターに保管し、店舗別でのピッキングなども実施していく予定となっております。
実験の背景

コンビニは我々の生活に無くてはならない存在になりました。
駅前の商店街や大学、そして病院内など多くの店舗が存在し生活に社会に密接に絡みあっています。特に3社は災害対策基本法に基づく指定公共機関にも指定されおり今後の日本にもなくてはならない存在です。そのため物流網の確保は非常に重要となります。
災害対策基本法とは1961年(昭和36年)に制定された法律です。この法律により指定公共機関と呼ばれる
- 電力、ガス、水道、通信など社会のインフラを担う機関
- 鉄道、石油など交通インフラに関わる機関
- 食料や薬などの生命維持に必要な物資の流通に関わる機関
- 社会の安全のとりでとなる研究機関
上記に当てはまる組織は、災害発生時の災害応急対策の実施などの責務が与えられています。
今回の実験は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で経済産業省が支援しています。SIPは様々な分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことで、科学技術イノベーションを実現することを目的に創設されました。
まとめ

現在の日本は高齢化が進み若い働き手は少なくなっています。それは物流だけではなく様々な業種に言えることです。そして現状、無人のコンビニなど人のいらない環境を作ったり、AIの導入で最適化を各企業が実施しております。しかし、今後は今回の実験の様に企業間の垣根を超えた取り組みが必要になっていくのではないでしょうか。
そして、その取り組みによりまた新たなサービス、商品が産まれ我々の生活が豊かになると私は考えます。
