2021年1月4日の午後、東京都渋谷区の国号20号線でタクシーが歩行者を複数人はねて、6人が死傷した大事故が起きたことがニュースで報道されました。タクシーの運転手は意識を失い、そのまま歩行者をはねて行ったとのことです。タクシーの運転手に一体何があったのでしょうか。今回は、渋谷区で起きたタクシーの6人死傷事故についてお話していきます。
渋谷区でタクシーが6人死傷事故を起こす

2021年1月4日の夜、渋谷区笹塚の甲州街道(国道20号)交差点でタクシーが小学生の男の子や親子、49歳の女性など計6人を次々とはねた事故が起きました。そのうちの49歳の女性は死亡が確認されました。タクシーの運転手(73歳)は意識を失っており、病院に運ばれています。
タクシーの運転手はくも膜下出血の可能性あり
警察の調査でタクシーに取り付けていたドライブレコーダーを確認してみると、事故前の運転手はうつむいた状態で体を揺らしている様子が映っていました。現場から約1キロ離れた場所に設置された防犯カメラでは、タクシーが加速と減速を繰り返したり、蛇行している様子がありました。事故後の診断の結果、運転手はくも膜下出血で意識を失った可能性があると見られています。運転手は運転中に意識を失い、そのまま赤信号の交差点に進入して歩行者をはねた後、中央分離帯にぶつかりながら現場から100キロ以上先で止まりました。
運転手は病院で治療中
意識を失ったタクシーの運転手は現在、運ばれた病院で治療中です。警察は、運転手の回復を待ち、自動車運転処罰法違反で事情聴取をします。意図的な事故ではなかったと言え、6人も死傷させてしまったことは非常に悲惨なことであり、はねてしまった運転手の気持ちを想像すると胸が痛くなります。
脳卒中で事故が起きるケースは多い

気にする人は少ないかもしれませんが、交通事故の原因の一つとして、運転中に脳卒中で意識を失うケースもあります。国土交通省によれば、タクシー・バス・トラックの運転手のうち、脳卒中で交通事故を起こしり業務を中断する人は2018年までの6年間で212人もいます。交通事故のなかでも衝突事故が非常に多く、わき見運転・信号無視など様々な原因があるなかで、脳卒中や病気で意識を失って事故を起こすケースも珍しくありません。
タクシー運転手の平均年齢が59.9歳
近年は運転手の高齢化も進んでおり、タクシー運転手の平均年齢が59.9歳です。バス運転手の平均年齢が51.2歳、トラック運転手は47.3歳で、タクシー運転手の平均年齢が高いことがよく分かります。今回事故を起こしたタクシー運転手の年齢は73歳で高齢者です。やはり高齢者は事故のリスクが高まり、徹底的な対策が必要です。
脳卒中による事故の対策は難しい
実際に国土交通省は、脳卒中対策のガイドラインを策定して、とくに高齢運転手たちに対して検査を3年に1回程度受けさせるように言いました。ですが、脳ドックなどの検査は1人数万円かかってしまい、事業者への補助でも検査を十分に受けることができません。高齢運転手の検査費用は特別に安くしたり、補助金などで満足できる額を支給できれば良いですが、それを実現することは難しいのでしょうか。
脳卒中後の運転はどうなる?
もし脳卒中を起こした後でも、運転は絶対に不可というわけではありません。医師が「運転に支障はない」と診断結果を出した場合、脳卒中後に運転を再開することはできます。しかし、運転を再開するには脳卒中の診断書を書いてもらったり、適性検査を受けたり、安全運転のために自動車の改造などをする必要があります。
まとめ
新年早々、くも膜下出血による意識不明の状態で6人の歩行者を重傷や死亡させる悲惨な事故が起きました。近年タクシー運転手の平均年齢が高くなっており、事故を起こした運転手は73歳で高齢です。とくに高齢者ドライバーは交通事故のリスクが高くなるため、認知症などの症状がある場合は免許返納してください。車はちょっとぶつかるだけでも大ケガになるため、車は危険でもあることも意識しなければなりません。